今貴金属を購入している人の多くは、現物での資産購入を視野に入れていると思います。
とは言え、経済が混迷してくると貴金属を売却して現金化しなくてはならない場合があるかもしれません。
このブログをご覧の方の大半は、日本にお住まいで購入した貴金属も日本で保管していると思います。
買取と税金まで考えると、購入場所と保管場所そして売却場所の選定が変わってくるかもしれません。
今日の話は経済システムが崩壊前に、売却するケースを念頭に置いています。
日本国内だと売却先や担当によっても対応にばらつきがありますが、貴金属の種類によっては売却を断られることがあります。
国内で一番簡単に売却できるのは、やはり徳力や石福といった日本企業製造の製品です。
反対に、サイズが大きい海外製のインゴットの売却は困難です。
大抵は持ち込むと、調べたいと言われて数週間預かって中身を確認することを提案されるのではないかと思います。
通常、買取店が保有している貴金属の鑑定機械では1キロ以上のインゴットの鑑定が難しいようです。
安いからと言って、海外製のサイズが大きなインゴットを購入することはややリスクがあるのかもしれません。
スイス製の銀インゴットでも売却が困難であったと聞いたことがあります。反対にコインの売却は非常に簡単です。
LBMA(ロンドン貴金属協会)の基準でグットデリバリーバーというものがあり、認定されている会社の製品であることが重要です。
LBMAでは認定された会社の製品のみを取引所で取り扱うことになっており、インゴットの場合はこれが一つの基準となっています。(コインは非該当)
日本では13社が認定されていますので、ご自身のインゴットがどの会社のものなのかをご確認ください。
Good Delivery Current List - Silver
少し前に人々が銀に殺到したときに、買えないからと言ってリサイクル会社からインゴットを買う人が相次ぎました。
具体的な会社名は避けますが、上記のリストに入っていない会社から購入しているという話も聞いたことがあります。
経済危機が発生して銀が入手不可になれば事情は変わるのかもしれませんが、現時点では売却時に期待を裏切られる可能性があります。
買い取り会社には買取基準価格が存在し、LBMAグッドデリバリーバーに該当するかどうかで基準価格が変わります。
どう変わるかというとスポット価格とリサイクル価格があり、どちらの価格で買い取るのかが変わります。
LBMAのグッドデリバリーに対応しない会社のインゴット製品を持ち込むと、リサイクル価格を提示される可能性が高いです。
きちんとした製品であったとしても、念のためとしてリサイクル扱いをしてくる業者も存在します。
この理由でリサイクルは非常に格安でない限り、避けるのが賢明です。
問題はいくら変わるのかという点です。
一例として本日の田中貴金属の価格では、リサイクルの買い取りが1g=90円となっています。
反対に、通常の買取価格は1g=162.80円となっています。知らずにリサイクルを買ってしまうと、大損する可能性があります。
知らずにリサイクルやグッドデリバリーバー以外のインゴットを買ってしまった場合、購入した会社に買取の打診をするのがベストな対策だと思われます。
他店に持ち込むと、リサイクル価格を提示されることになります。
以前に著名貴金属店に勤務している人から話を聞きましたが、買い取った銀は溶かして自社のインゴットとして精製すると話していました。
結局溶かしてLBMAのグッドデリバリーバーにしてしまうのであれば、買取時にリサイクルだと言って買いたたくのは納得がいかない話です。
ただ日本とはそういう国なので、ここで文句を言っても始まらないでしょう。
海外の買い取りについても書きたいと思います。
海外はもっと簡単で、取引自体はかなりフェアです。
店によってもばらつきがあるのでしょうが、製造会社について聞かれることはあまりなく純粋に銀含有量によって価格が提示されることが多いです。
LBMAかどうかについて問題視されることもほとんどないはずです。
海外の買取店ではコインが好まれる反面、インゴットは1キロを超えると買い取れないと言われる場合があるようです。
コインであれば、いくらでも喜んで買い取るとするディーラーが多い気がします。(インゴットは再販が難しいというのは常識です)
海外での売却を念頭に置いて購入するのであれば、コインをできるだけ低価格で入手するのが賢明なのかもしれません。
私が知る限りコインでも低価格のラウンドでも、買取価格はほぼ変わりませんが、イーグルコインにはプレミアムを支払う店もあるようです。
売却価格はスポット価格から4-6%程度の手数料が取られるのが普通です。
日本の買取店の場合は、10%程度の手数料を見込むことが多いようです。となると海外のほうがはるかに条件が良いことになります。
(日本でも買取手数料は店によってばらつきがあると思います)
つまり可能であるとすれば、海外で買って海外で売るという選択肢がベストです。
国によっては消費税がない場所もあるため、手数料と10%の税金だけでも差額が大きくなります。
問題は日本居住者にとっては、海外で買って海外で保管することに伴うリスクがあります。
きちんと保管ができるのかという点と保管にかかるコストを勘案しなければなりませんが、このリスクをクリアできるのであれば海外での保管も視野に入るかもしれません。
海外への移動を視野に入れているのであれば、移動先の国内での購入と保管を検討してもよいかもしれません。
私の知り合いの貴金属ディーラーも保管サービスを提供していますので、ご興味があればご紹介は可能です。(自己責任でお願いいたします。)
少し前に銀鉱山のオーナーから、銀の直接購入を打診されました。
価格はスポット価格ですが、ある程度まとまった量を購入しなければなりません。
自社で精製していて99.99%だそうですが、ただまだできたばかりの新しい鉱山会社なのと日本国内での売却には不向きなので見送ることにしました。
もう少し後になって、店頭から銀が消えた後に購入しようかと思っています。
と思っていたら、別の貴金属ディーラーが話を持ち掛けてきました。
大量の銀を処分したいクライアントがいるとのことで、引受先を探しているとのことでした。
この会社はスポット価格から5%程度の手数料を取るはずなので、私も手数料を払うので格安で売却してもらえないかと交渉をしているところです。
儲けは少ないとしても、買取と同時に横流しできるのであれば悪い話ではないでしょう。
不動産を処分した資金での銀買い増しを検討している最中ですが、売却のことまで考えるといろいろと検討する点があるものですね。