不動産投資家にとって利回りというのは重要です。
特に日本で不動産投資をしている人にとって、利回り=不動産投資という人も多いのではないかと思います。
日本の不動産というのは、購入後に価値が上がるというケースがほとんどなく、経年劣化とともに下がるのが普通なので、利回りが利益を図るための指針となるのは当然だと思います。
あと、日本の入居者は比較的真面目なので、家賃をきちんと払う傾向が強く、家賃保証もあるので、投資家も計算がしやすいと思います。
しかし、残念ながらアメリカ不動産投資はそうではありません。
利回りというのは、あくまでも「タラレバ」です。
どういうことかというと、いい入居者が見つかり、きちんと家賃を払えば大家には家賃が支払われるという意味です。
あと、過去数年は家賃の上昇が激しかったので、当初の利回りを大幅に超えていたのですが、コロナ以降、場所によっては家賃の下落が始まったようです。
特に、人々が移動してしまった都市、場所によっては20%-30%も下落している都市もあるようです。
ざっと調べただけでも、ニューヨーク、サンフランシスコ、ワシントンDC、シアトル、ロサンゼルスなどが出てきます。
他にもたくさんあることでしょう。
New York’s Falling Rents Are Doing Little For Its Housing Plan
San Francisco’s 35% Plunge in Rents Shows Effects of Tech Fleeing City
This Map Shows Where Rents Are Dropping in D.C.
Seattle rents drop amid COVID-19 pandemic as apartment incentives increase
Rent is falling in Los Angeles. Head east, you’ll find the opposite
もちろん人々が流入している地域では家賃が上昇しているのだと思いますが、大都市では下落傾向が顕著なのだと思います。
つまり、購入時に利回りを計算して購入したとしても、参考程度の数字にしかならない可能性があるということになります。
ですから、今回のような経済危機でのアメリカ不動産投資ではアプローチを変える必要があります。
まずは、キャッシュフロー以外に利益を出すポイントを用意すること。
これはつまり仮に想定の利回りが外れたとしても、キャピタルゲインが得られるような物件を買うことは大切です。
そもそもの話ですが、アメリカ不動産投資はインカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙うものです。
あとは、レバレッジを効かせすぎないことも大切です。
不動産というのは結局、需要と供給のバランスで価格が決まります。
価格が落ちるということは、家賃も下落するということ。こういうリスクも想定に入れつつ、投資に取り組むべきだと思います。
利回りばかりに注目していると、購入してから半年や一年という比較的短いスパンで投資の成否の結論を出す傾向が強くなりがちかもしれません。
しかし、経済危機は一度起これば、最低数年は影響が続きます。そして不動産は約10年のサイクルで価格が上下するものです。
ですから、多少の誤差はあまり気にせず、しかも長期で物事を考えるべきだと思います。